未来派(EX)の考察

1.はじめに

 未来派(曲名:demolizione)は、全国の欲望愛好家(長門有希調で糞譜面を提案し続ける界隈とも言う)に愛される楽曲である。未来に生きる若者へ絶大な人気を誇り、「今を生きるな。未来に生きろ。未来派(EX)おねがいします。」と互いに鼓舞し合う光景は、もはや日常と言っていいだろう。しかしその人気は単に"未来"を冠しているからではない。その味わい深い近未来的な譜面も魅力の一つなのだ。本記事では未来派(EX)の魅力に迫ると同時に、未来を生きることの重要性、味蕾の構造、未来を「みくる」と読む若者の増加傾向について、朝倉未来の強さの秘訣、過去派の迫害、過去に縛られることがどれだけ愚かであるか、ついでに人間の愚かさについてPUI PUI モルカーを挙げて論ずる。

 

2.1-4小節目

f:id:acadzu:20210508104858j:plain

黄ばむととてつもなくへこむ

 音楽ゲームの譜面とは、聴覚的に味わう音楽へ視覚的な情報を随伴させる、言わば「曲に描かれた絵」である。従って譜面は音楽そのものの性格を反映していると言えよう。やかましい曲はやかましい譜面になるし、静かな曲は静かな譜面になる。鮭の産卵は曲に反して譜面がうるさいだと?お黙りなさい。未来を生きろ。

 更に深く掘り下げると、譜面は「木の絵」のようだ、と解釈することもできる。EASY、NORMAL、HYPER、EXと成長をする。木の絵から枝を削ぎ落とすと違和感を覚えるように、譜面もノーツ1つが欠落すると味わいも押しやすさも変わってしまう。Popperz Chronicle(UPPER)(EX)のL-an!ma地帯が顕著な例だろう。青が1つ抜けており、そのお陰でとても押しやすくなっているのだ。

 ここで「バウムテスト」の考え方を導入する。詳しくは割愛するが、被験者に1本の木を描かせ、それから性格を推測する有名な心理検査である。そしてバウムテストの解釈の一つに、「左側は過去、右側は未来を表す」というものがある。どちらにどう描かれているかでそれぞれに対する想いを汲み取るのである。

f:id:acadzu:20210508105140j:plain

過去と未来の対比

 ここで未来派(EX)の譜面を改めて見てみよう。左側は3ノーツ、右側は2ノーツの同時押しとなっている。一般的に後者の方が押しやすい。これをバウムテストの解釈と照らし合わせれば、そう、未来の方が易い、明るいといった考察を行うことができるのだ。これは未来への"希望"である。お前何派?俺未来派。そんな声が聞こえてくるようだ。

 

3.31-34小節目

f:id:acadzu:20210508105820j:plain

ゾンゲゾンゲゾンゲゾンゲ

 なんとも押し辛いと思ったことはないだろうか。全部腕押しすればモウマンタイだが、この小階段は左手で全て押そうとするともつれて捌きにくいし、押せたとしても呪われやすい。そしてそれは消えない後遺症となって死ぬまで残り続ける。

 

 だが待ってほしい。小階段の3つ目を右手で取ってみてはどうだろう。するとどうだ、左緑を右手で押すのがやや厄介ではあるものの、とても素直に押すことができるようになるではないか。

 未来は発想の転換で切り拓くのだ。それを未来派(EX)は教えてくれる。このあたりでスガシカオのprogressが流れればそれらしい空気になるが、残念ながら今読者の頭の中に流れているのはずっと真夜中でいいのに。の秒針を噛むである。未来派ですらない。そう、世界観がぐちゃぐちゃなのも未来の特徴だ。SMAPが解散して、得体の知れないウイルスが流行って、白バベルが49に居続けて、加山雄三の船が全焼する未来など、一体誰が思い描けただろう。それほどまで未来とは統一感のないカオスなのだ。

 

4.55-58小節目

f:id:acadzu:20210508113438j:plain

癖の塊

 これがなければ46ではなかった、ここまでネタにされることもなかったと言えるほどインパクトのある配置。両黄が軸という斬新すぎる構成、緑と白の絡みのいやらしさが、全埋めレベルのポッパーをも苦しめる。空BADを出しやすく非常に再現性が取り辛い。

 よく見たら大体ただの交互連打だし押しやすくないか?その安直な考えはチープシーロマンだ。まず横に広くリズムが取り辛い。そして黄3連、2連目に白緑というプラス型の配置が難しい。裏拍から入る難しさも去ることながら、右手側にある分離したプラスによって脳トレ要素も加わっている。

 それほど根拠のないプラス思考はクソなのだ。未来がどうこう言ってもなるようにしかならない。今と未来は確かに時間的に連続しているが、理不尽なイベントなんていくらでも突然降りかかってくるので、未来に思いを馳せすぎることは危険である。我々は未来に生きているのではない、今を生きているのだ。何が未来派だ。強いて言うなら現在派だろう。現実逃避をするんじゃない。ふざけるな。もう怒り狂っている。だめだ、モルカーを観ても怒りが収まらない。この話はやめだ。やめやめ。

 

5.おわりに

 本記事では未来志向が過ぎると危険であることを論じた。未来派というキャッチーな単語に惑わされてはいけない。しかし過去に縛られ過ぎることもよくない。しっかり現実を見て、今を生きるべきだ。

 最後に漫画「あの子と遊んじゃいけません」より、過去と現在と未来を繋ぐ名言を引用して閉じることにする。

 

 

 

 

 

 

 

f:id:acadzu:20210508120041j:image